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自転車専用レーンに駐車車両があるとき、自転車はどこを走行すればいいの?

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自転車通勤で困らない正しい交通ルールと対処法<1>
自転車専用レーンに駐車車両があるとき、自転車はどこを走行すればいいの?

 ここはどう走ればいいの? 正しい走り方ってどうなんだろう? 自転車に乗っていて、ふと疑問を抱いた経験はないでしょうか。この連載は都心部の自転車通勤を想定して、走行時に困惑しそうなシーンを挙げ、正しい交通ルールを学んでいきます。

 今回は「自転車専用レーンに駐車している車両があるとき、自転車はどこを走行すればいいのか」です。駐車車両の右側を通過すればいいのですが、正しいルールを知っていると、それが例外的な行為であることが見えてきます。法律の専門家、弁護士の本田聡先生が解説します。

正しいルールを解説

 最近は「自転車専用」と標識で区別された自転車の走行空間、いわゆる自転車専用通行帯が増えてきました。これに対し、「自転車道」は、車道と縁石や柵などで区切られたものです。自転車道は2m幅以上が原則で、縁石や柵などで区切る必要もあり、道路スペースに余裕のない都市部では、あまり普及していませんでした。

 そこで、道路の一車線として自転車専用部分を指定し、自転車走行空間を確保する取り組みが行われています。全国で480kmが整備されており、国交省が推進しておりますので、今後も自転車専用通行帯は増加するものと思われます。この自転車専用の標識がある場合には、自転車はその自転車専用部分を走行しなければなりません(道路交通法20条2項)。

 しかし、自転車専用通行帯に路上駐車がある場合も見られます。また、障害物がある場合もあります。このような場合、自転車専用通行帯を越えて隣の車線を走ることになりますが、これは道路の状況そのほかの事情によりやむを得ない場合(道路交通法20条3項、自転車道の場合63条の3)に該当するので、許されます。

路上駐車がある場合、自転車専用通行帯を越えて、隣の車線を走行することが許されます

 また、自転車(※)は、車道又は交通の状況に照らして安全のためにやむをえない場合には歩道を通行することができます(道交法63条の4)。車道を走る自動車の速度が速く、自転車専用通行帯に多数の駐車車両が駐車していて直進ができないような場合は、歩道を通行せざるを得ないこともあるでしょう。ただし、歩道では、原則としてすぐ止まれる速度で徐行しなければなりませんので、注意が必要です。

※歩道走行は普通自転車に限られる(詳細:警視庁)。

 自転車専用通行帯の駐車車両や障害物を避けて通行する場合、進路変更になります。だから合図を出して、隣の車線に車線を変更しなければなりません。この場合、隣の車線を進行してくる車両の速度や方向を急に変更させるおそれがあるときは、進路変更ができません(道交法26条の2第2項)。

 安全の観点からも、急な進路変更にならないよう気を付けなければなりません。この場合も、安全な進路変更ができないような交通状況であれば、前述のように歩道を走行しなければならないことも考えられます。

文: 本田聡(ほんだ・さとし)

2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。

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