2021.3.26
ママチャリではめったに経験しない自転車トラブルに「チェーン落ち」があります。文字通り、チェーンが走行中に外れてしまい、だらーんと垂れ下がってしまう状態で、もちろん走行は不可能になります。
ロードバイクやクロスバイク、ミニベロといったスポーツバイクだと、頻繁ではないですがときどき何かの弾みでポンッとチェーンが外れることがあります。機械式コンポーネントだけではなく、電動コンポーネントも例外ではなく、つまりどんなバイクでも、高級品であろうがなかろうがチェーン落ちは等しく起こりえます。
「えー、チェーンが外れたら、どうやって直せばいいかわからなーい」
「なんだか構造がややこしそうで、触るのが怖ーい」
と心配な方もいらっしゃるでしょうが、大丈夫。たいした技術も必要なく、誰でもサクッと元に戻せますのでやり方は覚えておきましょう。
これといった一つの理由で起きるのではなく、複合的なものでして、段差を超えてチェーンが上下に揺れた瞬間に歯から外れてしまうのが多いような気がします。チェーンが上下に暴れる…なんて表現をしたりしますが、そういう物理的な外部からの衝撃で外れるのが典型パターン。よって、マウンテンバイクで未舗装路をガンガン走ると、チェーン落ちの可能性は上がります。
「じゃあ、きれいなアスファルトを走る限りチェーン落ちはしないのか?」
なんてことは残念ながらなく、やっぱり起きるときはどんなシチュエーションでも起きるんですよね。
たとえばチェーンがクロス(斜め)になった状態だと、変速操作をしてチェーンがギアからギアに移動する瞬間に弾みでポロリとなることもあります。(とくにフロントディレイラーで多い)
典型的なチェーン落ちは、フロントがアウターでインナーがロー(1~2速)の状態から、フロントをインナーに落としたときに起きます。インナーギアがある部分よりを大きく越えて飛び、インナーギアにチェーンが乗っからないことで落ちるわけですね。
その逆パターンで、インナー→アウターへの変速でチェーンがうまくアウターギアに乗らずに外側に落ちるというのもあります。つまり、チェーンは外にも内にも落ちる可能性があるのです。
他にも「落車した衝撃でチェーンが外れてしまう」ということも。落車はかなり衝撃が大きいので、チェーンも落ちやすい。レースなど急いでいるシチュエーションだと、「転んであわてて立ち上がり、チェーンが外れているのに気づかずエイヤッと踏み込み、脚がスカッとなってしまう」こともあるようです。(プロでも時々見かけます)
ホビーライダーであれば、プロのように慌てて出発…なんてことはないでしょうが、サドルに乗る前にチェーンが外れていないかは確認してください。
最後にもうひとつ。スプロケット、フロントチェーンリング、チェーンが摩耗してしまうとギアがうまくかみ合わず、チェーン落ちが発生しやすくなります。メンテナンスを疎かにするとこういうこともあります。ギア周りは消耗品だと覚えておいてください。
チェーン落ちの瞬間は、脚がスカッと空転してしまうのでヒヤッとしますよね? 踏めると思ったペダルが落ちるように半回転すると、「うおおっ」と焦るものですが、そこはいったん落ち着きましょう。
まずはペダリングを止めて、どこか安全な場所に一時停止します。バイクから降りてチェーンを戻すのですが、このときやってはいけないのが「ペダルを逆回転させる」こと! チェーンがどこかに噛んでいないか、ちゃんと回転するのか確認したくなる気持ちはわかります。でも、逆回転させるとチェーンが絡まってしまい、逆効果になってしまうことがあります。最悪、ボトムブラケットの隙間にチェーンが入り込んでしまい、「自力で外せなくなってしまった…身動きとれない…」ってこともありえます。
ちなみに、チェーン落ちではないのですが、筆者がやってしまった悲劇で「走行中にコンビニ袋を踏み、カセットスプロケットにぐるぐる巻きに食い込ませた」があります。踏んだ瞬間に「やばいっ! 袋を一刻も早く外さねば」と焦った私は、あろうことかペダルを逆回転させ、ますますカセットスプロケットとプーリーに食い込ませてしまいました。
ガッチガチにビニール袋が噛み付いた結果、ついに手で外せなくなってしまい、泣く泣く押して歩いてショップに持ち込み、プーリーまでバラしてようやく元に戻せました。自宅から数kmだったのでまだ助かりましたが、旅先で起きていたらと思うとゾッとします。
このように、ペダルの逆回転は事態を悪化させることが多いので注意してください。
チェーン落ちの対策方法は大きく分けて3つあります。
不可抗力で起きるチェーン落ちは仕方ないものの、拙い乗り方のせいで起きることもあります。それが「トルクを掛けすぎたペダリング」でして、シフトチェンジの瞬間にペダルを力強く踏み込んでしまうと、チェーンと歯がうまく噛み合わずに落ちてしまうのです。
よって、変速の瞬間は気持ち優しめに、足からちょっと力を抜くイメージです。とくに登坂は斜度がキツくなる前にあらかじめギアを軽くしておくと、トラブルが少ないです。「キツくなってから変速…ではなく、キツくなる前に変速!」がコツです。
チェーンウォッチャー(チェーンガード)はチェーンを落とさないための物理的な装置です。お店で頼んで付けてもらいましょう。シティサイクルだと標準装備されていることが多いですが、スポーツバイクだと省かれていることもあります。
スプロケット、チェーン、チェーンリングは定期的に交換をしましょう。チェーンリングは頑丈なのでそうそう交換することはないですが、チェーンとスプロケットはセットで同時交換するのがオススメ。
交換頻度は乗り方にもよるので一概には言えませんが、毎週乗るようなサイクリストだと1年~1年半に1回くらいでしょうか。どっぷり浸かっている沼の住人だと1年以内に交換していることが多い印象。ちなみに筆者は「チェーンとスプロケットは年イチで交換」しています。
ただ、年イチと言われても「いちいち前回の交換時期」なんて覚えてられないですよね? これは個人的なハックなのですが、筆者は「サイクルコンピューターの電池交換をした日、タイヤを交換した日、スプロケットやチェーンを交換した日」をノートに記録しています。こうすることで、「◯◯社のタイヤは4,930km 乗れたんだな」とか「前回のチェーン交換からそろそろ1年か~」と確認ができます。
まずはペダルを回転させず、チェーンをまず接線部分だけ少しチェーンリングに乗せ(歯に合わせ)ます。で、(後輪を浮かせつつ)ペダルをゆっくり回してチェーンリング全体の歯とチェーンを合わせていきましょう。たいていのチェーン落ちはこれで戻せます。
チェーンが張ってしまってハメづらいなあと感じたら、リアディレイラーを前に押してやり、チェーンを緩めると動かしやすくなります。
このとき、力任せに回すのはNG。「あれ?なかなかハマらないなあ…おかしいなぁ…なにか引っかかっているのかなあ…」となっても焦りは禁物。そう、何かしらが引っかかっているのです。間違っても、力づくで「おりゃあ!」と回さないように。フロントディレイラーかリアディレイラーを痛める可能性が大です。
あと、「軍手」があると手が汚れません。片方だけでいいのでサドルバッグに入れておくのもいいでしょう。かさばってスペース的に苦しいのであれば、薄手のビニール製の作業用手袋(使い捨てタイプ)を使ってはどうでしょう。薄手なので小さなサドルバッグにも押し込んでおけます。ホームセンターで箱買いしておくと、自宅でのメンテナンス作業にも使えます。
さらに、レストランに置いてあるウェットティッシュをサドルバッグに入れておくのも一案ですが、個人的経験から言いますと、使いたいときはカピカピに乾いており、もはやウェットでも何でもない…という状態になっていることばかりでした(笑)。なので、いまではウェットティッシュは持ち歩いておりません。
変速操作するだけでやたらとチェーンが落ちて困るって場合は、ディレーラーの調整をしたほうがいいかもです。ショップに持ち込んでチェックしてもらいましょう。
ということで、
を覚えておいてください!
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