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Q 自転車は車側と歩行者側のどちらの信号を守るべき?

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弁護士に聞く自転車のルールの素朴な疑問<15>
Q 自転車は車側と歩行者側のどちらの信号を守るべき?

(Getty Images)※画像はイメージです

Q 自転車は車側と歩行者側のどちらの信号を守るべき?

A 自転車は、車道を通行することが原則とされ、例外的に ①自転車通行可の標識または標示が出ている歩道を通行する場合 ②13歳未満の子どもや、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が歩道を通行する場合 ③車道を自転車で通行することが安全を確保できず、やむを得ず歩道を通行する場合─の3つの場合には、歩道を通行することができます。自転車通行可とされる歩道の幅員は、3m以上とすることが道路構造令で定められており(同法10条の2第2項)、警察庁も幅員が3m以上ある歩道は、原則として自転車通行可とするように基準を定めています(令和3年11月30日通達)。

都市圏で進む自転車横断帯の撤去

 このように、自転車は車両であるにも拘わらず、一定の場合に歩道を通行することができますが、歩道通行中の自転車は、歩行者用信号に従うべきなのか、車両用の信号に従うべきなのかどちらなのでしょうか。また、信号には歩行者専用、自転車専用など、対象となる者が指定されている信号もありますが、この場合にはどうなるのでしょうか。

 まず、「自転車専用」のように、特定の交通に対してのみ意味を表示する信号がある場合には、それに従うことになります(道交法施行令2条3項)。

 この自転車専用の標識は、自転車横断帯のある交差点ではよく見られる標識です。自転車は自転車横断帯を通行する義務がありますので(道交法63条の7第1項)、横断歩道と自転車横断帯が併設されていることが多いことから、歩行者用信号に「歩行者・自転車専用」の標識をつけて、自転車も歩行者用信号に従うようにする運用が長らく行われてきました。

 しかし、車道を通行する自転車も自転車横断帯を通行しなければならないため、車道を通行する自転車の進路が複雑になり、道路交通の安全確保の点からも問題が多いのが現状です。そこで、主として都市圏では自転車横断帯の撤去が進み、同時に「歩行者・自転車専用」の信号標識も撤去が進んでいます。

通行場所によって変わる従うべき信号

 では、「自転車専用」の標識がない場合はどうでしょうか。道路を通行する者は、対面する信号に従うということになっており(道交法施行令2条)、自転車は通行している場所によって対面する信号が変わってくることから、従うべき信号も変わってくるということになります。

 歩道を通行している自転車が対面する信号は、いわゆる歩行者用信号になる(人の形の記号を有する信号)になるのが通常でしょうから、歩行者用信号に従います。いわゆる歩行者用信号は、歩行者と自転車に対して意味を有することが規定されています(道交法施行令2条)。

 もちろん、歩道があっても車両用信号しか設置されていない交差点もあります。その場合には対面する信号は、車両用信号になることから、車両用信号に従います。なお、歩行者と普通自転車以外は、歩行者用信号には従ってはいけません。

 また、車道を通行している自転車が対面する信号は、車両用信号になるのが通常でしょうから、その場合には車両用信号に従います。

 このように、基本的には車道通行中では車両用信号に従い、歩道通行中は歩行者用信号に従えば良いのです。しかし、例えば自転車横断帯があって、車両用信号は赤、歩行者用信号は青の場合には、車道を走ってきた自転車は、他の車両が赤信号で停止しているにも拘わらず、停止線を越えて自転車横断帯に入って横断しなければならないという、戸惑うような場面もあります。

 この例のように判断に迷ってしまう場合もあり、より安全で分かりやすい仕組みに変えていくことが課題として残っていると思います。

本田聡
本田聡(ほんだ・さとし)
2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。