自転車のある暮らしを体験できる都市型サイクルイベント「東京ベイバイシクル2025」が、10月4日(土)・5日(日)の2日間、東京・有明ガーデンで開催された。一般社団法人自転車協会が特別協賛する本イベントは、サイクリストからファミリー層まで、幅広い層が楽しめる自転車の祭典。会場では試乗体験をはじめ、ステージイベントやKIDSバイク教室など多彩なプログラムが行われ、来場者は“見て・乗って・楽しむ”自転車の魅力を満喫した。

アクセス良好、親子で気軽に立ち寄れるイベントに
会場となった有明ガーデンは、ショッピングモールやホテル、スパなどを併設する複合施設。東京臨海エリアに位置し、電車やバスなど公共交通でのアクセスもよく、自転車愛好家だけでなく、買い物や食事の合間に訪れたファミリー層や近隣住民の姿も多く見られた。
イベント初日はあいにくの雨模様となったが、翌日は一転して快晴に恵まれ、開場と同時に多くの来場者が詰めかける盛況ぶり。試乗コースでは、自転車にまたがるビギナーや家族連れの笑顔が広がり、にぎやかな声が響いた。

幅広い層が楽しめる展示と試乗体験
会場には国内外のブランドが一堂に集結し、最新モデルの展示や試乗体験が行われた。ロードバイクやクロスバイク、グラベルバイク、E-BIKE、折りたたみ車など、多彩なカテゴリーが並び、普段なかなか乗る機会のないモデルを気軽に体験できるとあって、試乗エリアは人気を博した。

「以前から気になっていた車種を実際に試せた」「子どもと一緒に安全に走れるか確認できた」といった声も多く、スポーツ用自転車に興味を持ち始めたビギナー層にとっても貴重な機会となったようだ。自転車愛好家だけでなく、休日のレジャーとして気軽に楽しめる雰囲気が魅力となり、多くのファミリーが笑顔で試乗コースを走り抜けていた。

また、ビンテージバイクやオールドスタイルのウェアなど、往年の自転車ファン垂涎の展示や販売も実施された。トラディショナルな雰囲気のスポーツ用自転車は、現代のものとは異なるオーラを纏っており、若い来場者らも惹きつけられていた。


実践式で学ぶコンテンツも
キッズ向けコンテンツとして注目を集めたのが、遊びながらバランス感覚を養う「デンマーク式自転車教室」だ。専用コースには子どもたちの笑い声が響き、講師の指導のもと、スラローム走行やブレーキ操作などを楽しみながら体験していた。
この教室は、デンマークで実践されている子ども向け交通教育をベースにしたプログラムで、運動を通じて自然にバランス感覚や判断力を身につけられるのが特徴。難しい講義や座学ではなく、子どもたちが夢中になって遊びながら学べる形式のため、会場では親子そろって笑顔が絶えなかった。

また、元プロロードレーサーの畑中勇介さんが教える初めてのスポーツバイク教室も行われた。ブレーキの掛け方や曲がり方などを実践的に指導。スポーツ用自転車をこれから始めたいと思うビギナーにぴったりのコンテンツであった。

近年注目を集める「バーチャルサイクリング」体験ブースも来場者の関心を集めていた。大型モニターに映し出される実写映像やCGのコースを走行でき、ペダルを踏むと画面の中でリアルに風景が進む。坂道では負荷が変化し、下り坂ではスピードが上がるなど、まるで本当に走っているかのような臨場感が味わえる。

「雨の日でも世界中のコースを走れるなんてすごい」「家にいても運動不足にならない」と、特にビギナー層やファミリーから関心が高く、最新のデジタル技術が自転車の楽しみ方を広げていることを実感させる内容だった。
リアルな走行とデジタル体験が融合するこうした試みは、サイクリングの新しい魅力を提示するものだ。
ステージイベントで広がる“自転車の楽しみ方”
会場中央に設けられた特設ステージでは、2日間を通じて多彩なトークイベントやゲスト企画が行われた。注目を集めたのは、「サイクルレース観戦の楽しみ方」をテーマにしたトークショー。お笑い芸人の団長安田さんをMCに迎え、元プロロードレーサーの飯島誠さん、自転車ジャーナリストの小俣雄風太さん、タレントの稲村亜美さんが登壇し、観戦時の注目ポイントやレース戦術の面白さを分かりやすく解説した。

「逃げと追走の駆け引き」「風向きと隊列の関係」など、プロならではの視点を交えたトークは、自転車ファンはもちろん、これまでレースを観たことがなかった来場者にも好評だった。解説に合わせてスクリーンで映像が流れるなど、視覚的にも理解しやすい構成で、観戦文化の裾野を広げる試みとしても印象的だった。
また、前述のバーチャルサイクリングを使ったイベントでは稲村亜美さんと団長安田さんが都内のコースを体験。バーチャルサイクリングならではの楽しみ方を、来場者に実践しながら伝えていた。

ブースを巡って景品ゲット 来場者特典も充実
今年は来場者がより楽しめるよう、「スタンプラリー」が実施された。会場内の出展ブースを巡ってスタンプを集めると、抽選で豪華賞品が当たる仕組みで、各ブースでは担当者との交流や製品説明を楽しむ姿が多く見られ、家族連れにも人気だった。

さらに、試乗受付時に「ENJOY SPORTS BICYCLE」のトップ画面を提示した来場者には、各日先着300名に「東京ベイバイシクル オリジナルシューズバッグ」をプレゼント。シンプルで使いやすいデザインのノベルティは、サイクリストのみならず一般来場者にも好評だった。
1日を通して“自転車のある暮らし”を体感
展示・試乗・トーク・体験の各エリアがコンパクトにまとまり、買い物や食事もできる大規模複合施設に隣接する立地ということもあり、来場者は思い思いのスタイルでイベントを楽しんでいた。親子で初めての自転車に挑戦する姿、友人同士で最新モデルを乗り比べる姿、バーチャルサイクリングで笑顔を見せる人々――どの光景も、自転車を“日常の楽しみ”として感じられる温かな雰囲気に包まれていた。

会場全体を通して感じられたのは、自転車を単なる移動手段ではなく、ライフスタイルやレジャーとして楽しむ人たちの広がりだ。スポーツバイク愛好家に限らず、家族や友人で気軽に触れられる場としての価値が、東京ベイバイシクルの大きな特徴といえるだろう。



