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ブレーキの片利きとその対策について

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ブレーキの片利きとその対策について

 ブレーキの片利きって言葉、聞いたことありますか?正確には「ブレーキシューの片利き」でして、レバーを引いていないのにシューがリムに当たり、意図せずブレーキがかかってしまう状態を言います。

 自転車を持ち上げてエイっとホイールを回したとき、クルクル回らずにすぐ止まってしまったり、走っている途中で「なんか引っ掛かりを感じる…」「かすかに引っ張られているような抵抗がある…」となったらブレーキの片利きを疑いましょう。

ブレーキ本体が傾いてしまっている場合

 まずは簡単なチェックから。バイクを持ち上げてホイールを回してみましょう。問題がなければホイールはずっと回り続けますが、ブレーキシューがリムに当たれば摩擦により数回転くらいでスッ…と止まってしまいます。

 次にブレーキのレバーを握って、ブレーキがかかる方の車輪のブレーキシュー付近を観察してみましょう。グニャッとした握りのフィーリングで、車輪が左右どちらかにわずかに動いたら、それは片利きが起こっている証拠です。

 原因はいくつか考えられまして、まずはブレーキそのものが傾いているケース。輪行で脱着を繰り返していると、タイヤがブレーキ本体に触れてずれてしまうことがあります。

 「いや、自分は輪行しないし!」って方も関係なくはないです。なぜなら、乗っていればどこかのタイミングでパンク修理もしますし、ホイール洗浄のために脱着するのは避けては通れませんからね。

 で、ずれているのがキャリパーブレーキなら、ブレーキ本体を手で握ってグッと中央に戻すとだいたい直ります。5秒で終わり。ただ経験上はVブレーキの方が片利きが起きやすい印象でして、かつキャリパーブレーキよりも調整に手間がかかります。

キャリパーブレーキ本体です。根元から動かしてみてください

 Vブレーキもグッと手で戻せばほぼOKなんですが、戻してもしばらくすると元の片利き状態に戻ることも。左右のバネテンションが均等になっていない可能性があります。アーレンキーで調整すれば解消はします。あるいは、下記画像のようにワイヤーを外して動かしたり掃除しているうちに片利きしなくなることもあります。

 ただ、ブレーキ関係は命にかかわる重要なパーツですので、難しそうだなと思ったらムリは禁物。ショップで診てもらうのが確実で安全です。

Vブレーキです

 「頻発してうっとうしい!」ってことでしたら、メカニックさんに診てもらいましょう。

ブレーキが傾いていない場合もある

 そうなんです。ブレーキ本体はまっすぐになっているのにリムが当たることもあるんです。なぜかというと、「ホイールがまっすぐ装着されていない」ことがあるから。

 「いやいや、ホイールが傾いて装着している人なんているわけないでしょ」

 いるのですそれが…。しかもそれでもなんとなく走れてしまったりするので、ズレに気づかないパターンもあったりします。ただ、これは事故にもつながる危険性があるので非常にまずい。

 ですので、片利きしていたらブレーキが傾いているかのチェックと同時に、そもそもホイールがしっかりはまっているかも確認しましょう。輪行を頻繁にするような、脱着頻度が多いサイクリストさんは、

  • ・ クイックのテンションが緩まっていないか?
  • ・ 奥までしっかり入っているか?

 にどうかご注意を。

輪行歴が浅い場合は気をつけて

 フロントホイールはホイールの傾きがまだわかりやすくてミスが起きにくいのですが、リヤはリヤディレーラやスプロケットの部品のせいでエンドにしっかりはまっていないのが目視しにくいです。中途半端な状態でクイックを締めてしまい、気づかずに走り出してしまうというミス…。

 ホイール装着時には、しっかり体重を上からかけて、ホイールとフレームを隙間なく密着&装着するよう心がけてください。確信がなければ、クイックレバーを緩めて1回ホイールを外し、改めてえいえいっとはめ直してみることをお勧めします。

片利きしていなくても、ブレーキシューはたまにチェックを

 ブレーキシューは消耗品です。なにしろリムに当たって摩擦で止まるメカニズムなのですから、走っていればいつか薄くなっていきます。

 ブレーキシューは劣化する前提のパーツなので、片利きしていなくても、とくに問題が発生していなくても、ときどき状態チェックするのは良いことです。

 シューから音が鳴って不安になることもあるでしょうし、取り付け角度がずれてくることもあります。かなりの強度でリムに押し付けるわけですので、そういうことも起きるわけですね。

たまにホイールを外してブレーキシューの摩耗具合を確認

 ブレーキシューがどれくらいの期間使えるのかの目安は…残念ながら断言できません。乗り方も走行距離も人それぞれですし、シューのグレードやタイプによっても寿命は異なりますから。

 積極的に削れることでストッピングパワーを確保しているモノ(短い寿命)もあれば、その逆に制動力はほどほどだけどすごく長持ちするタイプもあります。

 ですので、感覚で覚えておくのが確実。ちなみに筆者はロードバイクの年間走行距離が5000キロくらいでして、シューの交換は年に1回ペースです。

 ということで、

  • ■ ホイールがまっすぐ装着されてるか?
  • ■ ブレーキが傾いていないか?
  • ■ 頻発するならショップへゴー
  • ■ リムの掃除、シューの劣化をときどき確認する

 を心がけてください。

写真・文/中山順司

中山順司
中山 順司(なかやま・じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するオッサンブロガー。ブログ「サイクルガジェット」を運営。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ローディの方はもちろん、これからロードバイクを始めようかとお考えの方が、「こんなコンテンツを読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。