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上手に美味しく減量 サイクリストのためのテーマ別レシピ3選

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自転車ダイエットの極意<3>
上手に美味しく減量 サイクリストのためのテーマ別レシピ3選

 今回は趣向を変えて、サイクリストの皆さんにおすすめのレシピを紹介したいと思います。まず、今回のレシピを考えてくれたのは、現在大学で栄養学を学び、スポーツ栄養に興味を持っている学生さんです。私の自己紹介欄(当ページ下部)にもあります「COMPASS」というコミュニティに所属するメンバーでもあります。学業に忙しい中レシピを考えて、実際に調理して写真も撮ってもらい、大変感謝しています。

栄養学を学ぶ学生がサイクリスト向けに健康に痩せるレシピを考案(Getty Images)※画像はイメージです

■健康に減量するためのレシピ

 レシピを考えてもらうにあたって、2つのテーマを掲げました。1つ目は「健康に減量するためのレシピ」です。

 自転車に乗る理由の1つが「ダイエット」という方もいらっしゃると思いますし、競技者であればあまり体重を増やしたくないと思います。ここでのポイントは、ただエネルギーをカット(減らす)だけでなく、コンディションを維持するために必要な栄養素は摂取すること。各栄養素をバランス良くとるために「主食・主菜・副菜・乳製品・果物」を揃えると第1回目でお話しましたが、これからご紹介する3つのレシピはその5つのうち2~3つがワンディッシュで揃います。また、各レシピ1食あたり500kcal以下に抑えられているので、罪悪感なく安心して食べられると思います。

(*材料の「大1」「小2」は「大さじ1」「小さじ2」です)

レシピ①「具沢山で大満足!旨辛坦々スープ」

 こちらのレシピはその名の通り具沢山で「主菜・副菜」がしっかりとれます。糸こんにゃくやもやしは食物繊維が豊富で、腸内環境を整えたり、血糖値上昇を抑制する働きがあります(血糖値については、本連載の第2回をご参照ください)。材料の鶏もも肉を鶏むね肉に変更したり、牛乳を低脂肪牛乳にするとさらにエネルギー量をカットすることができます。

レシピ②「とろっと野菜の海鮮焼きそば」

 この1品で「主食・主菜・副菜」がとれるので、あと「乳製品・果物」をプラスすれば栄養バランスもバッチリ! 豆苗、人参、小松菜は緑黄色野菜ですので栄養価も高く、抗酸化ビタミンが豊富です。

 サイクリストの皆さんは屋外で活動することが多いので、紫外線もたくさん受けているはず。さらに紫外線の他にも、排気ガスや寒暖差、息が上がるような激しい運動などが原因となり、体内では活性酸素が発生しやすくなります(こう見ると、サイクリストの皆さんは活性酸素が発生しやすい環境に身を置いているのかもしれません)。

 活性酸素は細胞を傷つけて、シミやシワなど老化の原因になったり、疲労がなかなか回復しない原因となるのですが、抗酸化ビタミンには活性酸素を除去する働きがあるのです。また、シーフードミックス(魚介類)は低脂質で高たんぱく質ですので、減量時のたんぱく質源としてお勧めです。

レシピ③「ノンオイル野菜豚玉丼」

 こちらも「主食・主菜・副菜」がワンディッシュで揃います。ご飯(主食)を食べると太るイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません(食べ過ぎるから太るのです)。ご飯に含まれる糖質は体を動かすエネルギー源となるので、自転車に乗るためにも必要です。むやみに食事量を減らして、その後にドカ食いしていたら本末転倒ですので、ちゃんと食事をとって満足感を得ることもダイエット中には大切なことだと思います。ちなみに、玄米ご飯が用意できない場合は白ご飯でOKです(エネルギー量はほぼ同じ)。

■「疲労回復と筋合成」のレシピ

 2つ目のテーマは「疲労回復と筋合成」に着目したレシピです。楽しく自転車に乗ったらきちんと疲労回復もして、心身ともにリフレッシュしましょう! また、ライド後は少なからず筋肉が分解されています。そのまま放っておくと疲労回復しないだけでなく筋量も減っていくので、筋分解を防ぎ、筋合成を促進する必要があります。そのためには、まず糖質とたんぱく質の補給が必須なのです。

レシピ①「やみつき野菜のトンテキ」

 たんぱく質源の1つである肉類。アスリートは鶏肉をよく食べるイメージですが、豚肉もアスリートにはお勧めです。糖質をエネルギーに変えるにはビタミンB1が必要なのですが、豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンB1は水溶性ビタミンのため体内に蓄積されないのですが、ニンニクに含まれるアリシンと結合すると体内に長く留まるようになるので、その分エネルギーをつくり出すことができます。ニンニクの香りは食欲を刺激しますし、ご飯が進む味付けで炭水化物(糖質)もしっかり補給できます。

レシピ②「味変無限大!?15分で作り置き“おにぎらず”の具」

 おにぎりの具で、しっかりたんぱく質がとれるものは意外と少ないと思っていましたが、このレシピだったらその悩みを解決できるのではないでしょうか。ビタミンB1もとってもらいたいので、豚ひき肉を使います。そして彩りに使われていると思われがちなパプリカですが、栄養価が高くてお勧めの野菜の1つです。抗酸化ビタミンでもあるベータカロテン、ビタミンCが豊富ですので、サイクリストの皆さんには特にお勧めです。忘れないようにしましょう。

レシピ③「鮭のカレーポテサラ」

 疲れ果ててしまうと食欲も落ちてしまいます。が、食べないでいると疲労も回復しませんし、筋分解が進んでしまいます。そこで、食欲をそそるカレー風味を生かしたポテトサラダはいかがでしょうか。じゃがいもが炭水化物(糖質)を多く含むことは有名ですが、ビタミンCも豊富です。また、鮭にはたんぱく質だけでなく、赤色の天然色素アスタキサンチンも含まれています。ビタミンCもアスタキサンチンも強力な抗酸化力を持っているので、サイクリストの皆さんにはお勧めです。

 これらのレシピを皆さんのレパートリーに加えていただけると嬉しいです。

文: 河南こころ(かわなみ・こころ)

管理栄養士。女子フィギュアスケートバンクーバー五輪銀メダリスト、男子バレーボールVプレミアリーグ所属チーム、ラグビートップリーグ所属チームなどを栄養面からサポート。ロードレースチームの「シマノレーシング」を担当していた経歴をもち、現在も「シマノ鈴鹿ロードレース」で開催される栄養講座の講師を務めている。自転車ロードレースの主要な国内レースは常にチェックしているというロードレースファン。現在はFC今治のサポートの他、トレーナー養成学校でスポーツ栄養学の講師をしたり、栄養学を学ぶ学生のコミュニティ「COMPASS」のアドバイザーとして後進育成に注力している。

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