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自転車通勤にオススメのスポーツバイクは何か?

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スポーツバイクで始める自転車通勤<2>
自転車通勤にオススメのスポーツバイクは何か?

 自転車通勤のノウハウを紹介する「スポーツバイクで始める自転車通勤」。第2回目のテーマは「自転車通勤にオススメのスポーツバイクは何か?」です。軽快車(シティサイクル)からスポーツバイクへ乗り換えを検討している場合、クロスバイクがオススメです。それはなぜなのでしょうか。シティサイクルやスポーツバイクの開発・輸入・販売や関連製品を手がける自転車のエキスパート、ホダカ株式会社の岩瀬勇徒さんと野中秀樹さんの意見を交えつつ紹介します。(文・石川海璃 / 写真・大澤昌弘)

シティサイクルから乗り換える場合、クロスバイクがベターな理由とは

乗り換えても姿勢に違和感がない

 自動車や自動二輪車に様々なタイプの車種があるように、自転車にも用途や目的に応じた車種が用意されています。特にスポーツバイクの種類は豊富です。大まかに分けるとクロスバイクにロードバイク、マウンテンバイク(MTB)の3タイプあります。このほかにもシクロクロスバイクやグラベルロードと呼ばれる車種も存在します。

 上記のどの車種でも自転車通勤は可能ですが、大まかな目安としては片道10km程度、時間にして約1時間前後の通勤であれば、クロスバイクで十分です。クロスバイクをオススメするのは、乗車姿勢がシティサイクルとさほど変わらないからです。ロードバイクよりも前傾姿勢が緩いため、少ない違和感で乗車できます。

クロスバイクは極度に前傾にならず、シティサイクルに比較的近い姿勢で乗れる

 車体の軽さも魅力的です。シティサイクルだと約20kgですが、クロスバイクはカゴやフェンダーがついていない車種が多く、半分くらいの重さです。車体の素材や値段、付属パーツの有無によって変わりますが10kg~13kgほどなので、坂道でも少ない力で前に進めることができます。

ギヤの段数も見逃せません。前は1~3段、後ろは7~10段のギヤが標準で付いています。道路の状況に応じてこまめにギヤチェンジを行えば、効率よく走れるようになります。

リアの段数は7~10段と細かい

 また費用に関しても他のスポーツバイクより安く抑えられます。クロスバイクの価格は、3万円~10万円ほどの値幅がありますが、この価格帯の製品ならば、粗悪な自転車に当たる確率は少ないでしょう。

 選ぶ際のひとつの基準として「BAA(BICYCLE ASSOCIATION JAPAN APPROVED)マーク」(自転車協会認証)のある自転車に注目する手があります。これは、厳しい検査項目をクリアした証拠となるものです。

 クロスバイクの価格が4万円、5万円と上がると、軽量化のために様々な装備が省かれるので、このマークが付与されていないこともあります。そういった事情を考慮し、安全性の高い自転車を選ぶならば、スポーツサイクル専門店に行くことをオススメします。

フレーム下部にBAAマークが付いている。写真はホダカのスポーツバイクブランド
「THIRDBIKES」(サードバイクス)のFESWORK(フェスワーク)

※BAAマークは自転車協会が利用者の安全を第一に考えて制定。同協会が自主基準として制定した安全基準に基づき、全部で約90カ所の検査項目をクリアした車体に貼られている。

最終的にはどんな用途を考えているか

 ここまでクロスバイクをオススメしてきましたが、ホダカの岩瀬さんは「最終的にはスポーツバイクを購入後、どんな乗り方・使い方をイメージしているかが重要です。通勤以外にも使うことを想定するなら、長距離を楽に走れるロードバイクも選択肢に入るでしょう」と提案します。

 通勤に加えて週末はサイクリングを考えていたり、長距離ツーリングをしたいなど、別の目的がある場合は、ロードバイクを検討してみてもいいでしょう。

通勤距離・時間、走行環境によってはロードバイクも選択肢にはいります

 一方で野中さんは第3の選択肢を提案します。「通勤と週末のフィットネスを目的として、ロードバイクはタイヤが細くて不安だという方には、最初から太めのタイヤが装着してあるグラベルロードやシクロクロスバイクという選択肢も考えられます。この2台なら多少荒れた道でも走れます」と紹介してくれました。

 この辺りはぜひ、スポーツバイクを取り扱う専門のショップ店員と相談しながら、選んで下さい。悩めるあなたに最適な一台を提案してくれるはずです。

 次回のテーマは「自転車通勤に最低限必要な装備は?(法定装備編)」。法律や道路交通法施行令上に必要になる装備はどれか。選び方のポイントなども交えて紹介します。

まとめ

① 片道10km程度、1時間程度の通勤のみならクロスバイクがオススメ

② それ以上の距離や所要時間だとロードバイクも選択肢に

③ 最終的にはどんな使い方をイメージしているかで自転車の選択肢が変わる

④ 迷ったらスポーツバイク専門のショップ店員に相談を


 

取材協力:ホダカ株式会社、コーダーブルームショップ 東越谷店