TOP HOW TO サイクルロードレース観戦の楽しみ方サイクルロードレース観戦の楽しみ方<1>
だからハマってしまう ロードレース観戦の2つの魅力

News / Columnサイクルロードレース観戦の楽しみ方

サイクルロードレース観戦の楽しみ方<1>
だからハマってしまう ロードレース観戦の2つの魅力

 ロードバイクを使ったレースである自転車ロードレース。徐々に認知度は高くなっているものの、実際にレースを見たことはない、よく分かっていないという方も多いのではないでしょうか。そこで、本連載では全12回にわたって、ロードレースの魅力をお伝えしていきます。

ロードレースの観戦の楽しみ方を解説します。写真は2018年ツール・ド・フランス第1ステージ  Photo: Yuzuru SUNADA

壮大な景色を見ながら擬似旅行体験ができる

 ヨーロッパで行われる自転車ロードレースは、ある地域で周回するコースよりも、スタート地点からフィニッシュ地点まで一本線を描くように走る、時には200kmを超えるようなコースであることが一般的です。

 例えば、砂浜が美しい海辺をスタートし、入り組んだ海岸の岸壁を見ながら、徐々に内陸部の平野に向かうと、あたり一面を埋め尽くすひまわり畑の真ん中を突っ切って、そびえ立つ古城の脇を通過して、大聖堂が見守るフィニッシュ地点へと至る、といったように有名・無名を問わず、ご自慢の景勝地を巡るコース設定になっていることが多いです。

ひまわり畑を駆け抜けるプロトン。2018年ツール・ド・フランス第18ステージより Photo : Yuzuru SUNADA

 世界最大の自転車ロードレースであるツール・ド・フランスを例にとると、モン・サン=ミシェル、歴史的城塞都市カルカソンヌ、ポン・デュ・ガール、シャルトルの大聖堂など世界遺産を巡る旅といっても過言ではないほど、観光名所が登場します。また、フランスにはアルプス山脈、ピレネー山脈、ジュラ山脈など絶景の山岳地帯も豊富にあります。

2016年ツール・ド・フランス第1ステージの舞台になったモン・サン=ミシェル Photo: Yuzuru SUNADA

 レース中継映像では走る選手だけでなく、そのような美しい風景をたくさん映してくれます。画面を見ているだけで、まるで旅行しているかのような気分になるのです。それらの壮大で美しい景色に熱中していたら、いつの間にか自転車ロードレースの観戦にハマっていました…というパターンは、この競技の観戦ファンになる入り口としてとても多いです。

数多くの名勝負を生み出してきたラルプデュエズ。2018年ツール・ド・フランス第12ステージより Photo: Yuzuru SUNADA

 フランスだけでなく、スペイン、イタリア、ベルギー、スイス、イギリスなどヨーロッパ諸国でレースは開催されています。それぞれの国によって異なることはもちろん、同じ国のなかでも地域が変わると見える景色が全然違うことも興味深いです。

 本場・ヨーロッパ諸国だけでなく、世界中様々な場所で開催されています。アメリカで開催される「ツアー・オブ・カリフォルニア」では、アメリカの広大な大地を感じさせる景色と、片道6車線はあろうかという巨大な道路に圧倒されるでしょう。

 中東・アラブ首長国連邦で開催される「UAEツアー」では無限に続く砂漠に加えて、ドバイやアブダビの都市部では超高層ビル群に度肝を抜かれることでしょう。

 普段、なかなかお目にかかることのできない絶景を味わえることが、自転車ロードレースの魅力の一つです。

プロ選手の実力を身近に感じられる競技

 自転車メーカーの技術の粋が結集された芸術品ともいえる最高性能のロードバイクに乗って、選手たちはレースを走ります。いわば、自転車による「F1レース」です。

 選手たちの自転車は基本的に市販品を使用しています。ハイエンドクラスとなると100万円を超えることも多く、気軽に手出しできる金額ではありませんが、その気になれば選手と全く同じクオリティの自転車を手に入れることができます。購入せずとも、最近ではスポーツ自転車の試乗会イベントも頻繁に開催されており、試乗の機会が恵まれています。

ハイエンドクラスとなると100万円超えも珍しくないものの、決してF1のように手の届かない額ではありません Photo: Yuzuru SUNADA

 ハイエンドクラスでなくとも、その技術を流用して作られたミドルクラスのロードバイクもありますし、入門用のエントリークラスのロードバイクであれば10万円前後から購入できるでしょう。それらは確かな性能差はあれども、いずれもしっかりと「ロードバイク」の見た目をしています。

 F1と比較してみると、1台数億円はするといわれているF1マシンを購入することは非常に難しく、試乗の機会もごくごく限られています。F1マシンでなくとも、同じような形をしたレースカーの購入だけでなく、試乗の機会すら滅多にありません。自転車ロードレースであれば、それらのハードルはとても低いのです。

 また、国内でも自転車ロードレースの国際大会が行われており、2020年には東京オリンピックでロードレースも開催されます。世界で活躍するトップ選手たちが実際に走った道路を、自分のロードバイクに乗ってたどることもできます。

 F1マシンに乗ってレースサーキットを走ることは不可能に近いうえに、自家用車に乗ってレースサーキットを走ることも気軽にできることではありません。自転車ロードレースは基本的に公道で行われます。レースがない日に道路交通法を遵守しながらであれば、誰でもいつでもレースで使った道路を走ることができるのです。

 そうしてプロが走った道路や、似た条件の道路を走ることで、プロと自分との実力差を具体的に実感しやすいです。「あんなに勾配の厳しい上りを飛ぶように走るプロは凄い!」「平地で軽々と時速60kmを超えるプロは凄い!」といったように、プロの実力を身近に感じられることも、自転車ロードレースの大きな魅力の一つです。

 レース観戦にハマると、徐々に自転車レース自体の競技性の奥深さに気付くことでしょう。次回は、自転車ロードレース最大の魅力ともいえる「戦略性が生み出す人間ドラマ」について解説したいと思います。

 

あきさねゆう
ライター、ブロガー、YouTuber。初めて見たレースは2004年のツール・ド・フランス。ひまわり畑に見とれているうちに、レース観戦にハマって十数年。レースに関するコラムが世に少なく、ならば自分で作ってしまえと「サイバナ」を開設した。今では「Cyclist」でレースリポートやコラムの執筆、国内外レースの現地観戦、Zwiftバーチャルレースへの参戦、ボイスコラムを制作する日々。つまるところ、熱心なファンである。