TOP HOW TO メカトラ事件簿メカトラ事件簿<1>
「クルマは滅多にパンクしないんだから自転車だって余裕でしょ」←その甘えが命取りに

News / Columnメカトラ事件簿

メカトラ事件簿<1>
「クルマは滅多にパンクしないんだから自転車だって余裕でしょ」←その甘えが命取りに

 サイクリストの皆さん、パンク修理は自分でできますか?タイヤを外してチューブを交換してもとに戻す…というあの作業です。中級者以上であれば「当たり前っしょ」でしょうが、自転車にハマって間もない初心者の中には大いなる誤解をしている人もいて、「いまどきパンクなんて起きるの?だって同じゴムで出来てるクルマのタイヤは滅多にパンクしないじゃないの。自転車もそうでしょ」と真顔でおっしゃることも。いやいや、その考えが命取りになりますよ…。なぜなら、自転車のパンクはクルマとは比べ物にならないほど頻発するから。だから全サイクリストはパンク修理キットの携行はもちろんのこと、交換スキルも身につけているべきですよ!というお話しです。


パンクなんて起きるわけがないと信じて走っていた恐ろしい過去

 お恥ずかしい話ですが、「パンクなんかしねーだろ、なにしろ21世紀だぜ?」と考えていた時代が私にもあります。ミニベロで自転車にハマったクチなのですが、半年間、パンク修理キット無しで走っていました。その間、一度もパンクしなかったのはただ運が良かっただけで、もしもパンクしていたら半泣きで立ち往生してたはず。しかもミニベロを購入したのが冬直前だったので、下手をしたら寒さで命取りだった可能性もあります。今思い出しても怖い。

 で、徐々にサイクリングについて学び、「どうやら予備チューブとタイヤレバーは携行していないとヤバいぞ」と考えを改めまして、遅ればぜながら半年後にサドルバッグをつけました。そしたら1ヶ月も経たないうちに見事にパンク。その後、2~3カ月に1回パンクするサイクルにハマります。

真夏のパンク修理は暑さとの戦い…

 21世紀だろうが、AIやスマートスピーカーや自動運転が世の中に浸透しようが、自転車のパンクはこれからも起き続けるでしょう。なんせ、タイヤゴムに関しては革命がまだ起きてないですからね。最近は空気を入れないゴムがアンコのように詰まった「ノーパンクタイヤ」というものも出回ってますが、ママチャリなどの実用車用がメインです。だから、サイクリストたるもの「パンク修理は自分でできる」ことがむちゃくちゃ重要なのです。

自宅で練習 & にっちもさっちも行かなくなったらショップに駆け込む

 「え~、パンク修理って難しそうだし、腕力がないからムリ~」と考えていたらそれは誤解です。自転車のパーツは構造が単純で、コツさえ掴めば女の子でも余裕でできます。モリモリの筋肉も不要。

 ただ、せめて1回は練習しておきましょう。できれば2、3回やっとくと安心。手順を知らないままキットだけ携行していても意味はありません。

 自宅で前輪を外し、空気を抜いてレバーでえいやえいやとタイヤを外し、中のチューブを抜いてみる。で、再びもとに戻す。なんの手がかりもヒントもないままだと「戻し方がさっぱりわからん!」と途方に暮れますので、メンテナンス雑誌を1冊買うか、そればが面倒ならネットの動画で学んでもよし。

パンク修理、意外と汗をかきます

 仮に自宅でやってみたものの、「ダメだ…どんだけ動画を観ても自力でハメられない」となったらショップに助けを求める。そういう意味でも、気軽に相談できる馴染みのショップをもっておくことが重要です。チューブの入れ方、タイヤのビードをリムに乗せるときの指先の力のかける方向や加減は文字や映像だけでは伝わりにくいものですが、「face to face」で教われば「なんだ、そういうことなのね」とアッサリ理解できたりします。

 自信がなければ、お世話になっているショップの店頭に持っていき、その場でやってみる。問題が起きれば、その場でアドバイスがもらえます。

予備チューブ、タイヤレバー、パッチがあればOK

 サドルバッグに常に入れておく内容物としては、

  • ・予備チューブ(最低1本、できれば2本)
  • ・タイヤレバー(3本で1セット)
  • ・パッチ

 があればとりあえずOKです。予備チューブはできれば2本あると安心ですが、まずは1本からでもよし。剥き出しの状態で入れると摩擦でゴムにダメージが加わり、最悪穴が開いて肝心なときに使えない…となるので、サランラップでぐるぐるに巻いて保護しておくことをオススメします。

サランラップで予備チューブをぐるぐる巻きに

 タイヤレバーは3本セットのプラスチック製のレバーのこと。裸で持っていると1本紛失…となりかねないので、巾着袋(買うとたいてい付属されてきます)に入れておきましょう。

 パッチは穴を塞ぐシールのようなモノで、予備チューブがなくなったときに最終手段として応急処置的に穴を塞ぐために使います。まあ、現実的には屋外でノンビリと穴を見つけるのもシンドいし時間がかかるので、さっさと新品チューブに交換したほうがいいでしょう。

シートチューブに携帯ポンプを装着

 あと!忘れていけいないのが「空気入れ(ポンプ)」です。いくら修理できたところでコレがなければタイヤはぺったんこのまま。サドルバッグに修理キットは完備してたけど、ポンプの存在を完全に失念していた人を私は知っています。そのことを指摘したら数秒絶句して、「ほんまや…ポンプが必要だと考えてなかった…なんということだ…」と感謝してくれました(笑)。

 で、携行用ポンプはいろいろありますが、フレームに装着しておけるタイプがいいでしょう。その都度バッグに入れるとか、バックポケットに入れて運んでもいいのですが、たいてい忘れてしまいます。なので、バイクにくくりつけておくほうがベター。

 ということで、

  • 1.パンクは万人に平等に起きる!
  • 2.自宅で修理の練習をしておく!(ダメならショップに助けを求める)
  • 3.修理キット&簡易ポンプの携行を忘れない!

 この3つを心がけましょう~。

写真・文/中山順司

中山順司
中山 順司(なかやま・じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するオッサンブロガー。ブログ「サイクルガジェット」を運営。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ローディの方はもちろん、これからロードバイクを始めようかとお考えの方が、「こんなコンテンツを読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。