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ビワイチにチャレンジ 日本一の琵琶湖一周200kmを2日かけ攻略(滋賀)

 一周サイクリング「○○イチ」の元祖のひとつと言えるのが、琵琶湖を一周するビワイチではないでしょうか。日本最大の湖である琵琶湖は、一周も200kmというスケールの大きさ。初級者から上級者まであまたのサイクリストを魅了してきたビワイチは、国が選ぶナショナルサイクルルートにも最初に指定されています。ビワイチの基本的なポイントを、実走してまとめました。

オススメポイント 日本最大の湖、琵琶湖を一周するとあって、長年、多くのサイクリストに親しまれてきたルート。国が指定するナショナルサイクルルートに組み込まれ、走行環境の整備も年々進んでいる。一周すると200kmという長距離だが、目立ったアップダウンは北端付近のみでチャレンジしやすい。琵琶湖大橋を使えば若干短いショートカットルートでも走れる。
レベル ★★★(上級者向け)
距離 205km
獲得標高 618m
出発・終着地 JR米原駅
立ち寄りスポット メタセコイア並木、琵琶湖サイクリストの聖地碑(第二なぎさ公園)、藤ヶ崎龍神

ビワイチのプランニングは

 ビワイチに行く際に、いくつか事前に考えておくことがあります。湖全体の一周(約200km)を走るか、琵琶湖大橋より北側の北湖と呼ばれるエリアの一周(約160km)を走るか。1日で走るのか1泊するのか。そしてどこを起終点にするか。

 今回は米原駅を起終点に、1泊2日で全体一周にチャレンジしました。遠方から新幹線で輪行アクセスする場合、最も便利なのが米原駅です。ちなみに京阪神から在来線輪行なら大津近辺、クルマなら守山近辺が便利でしょう。行き帰りのアクセスに余裕を持ちたいので1泊2日。日程が余裕があるので全体一周、というプランです。

JR米原駅を発着点に。駅にはレンタサイクルのお店も併設されています

 発着点が米原駅なので、宿泊地は半分を過ぎたあたりの雄琴温泉(大津市)に取りました。どこに泊まりたいかで発着点を考えてもいいかもしれません。

 ちなみに、ビワイチは左回り(反時計回り)で走るのが基本です。これは湖に近い側を走るので景色が見えやすいという点や、湖側は道の出入りが少ない点、そして何より「ビワイチの自転車走行空間の整備はほぼ左回り側のみで行われている」という点があります。左回り側は車道や、自歩道があればそちらにもブルーラインが引かれています。逆側には引かれていません。右回りは応用編として、まずは左回りで走るのがいいでしょう。

ビワイチルートの左回り側にはブルーラインが引かれています。自転車歩行者道も走行空間としているのが特徴で、速度に応じて走る場所を選べます
旧賤ヶ岳トンネルの手前。こんなところにもブルーラインが引かれています(左回り側のみ)

静かな湖北をまず回る

 さてビワイチ実走へと戻りましょう。米原駅前を出発します。西へ2kmほど走れば琵琶湖畔ですが、まずは北上して長浜を目指します。北国街道沿いの旧い町並みと黒漆喰が映える「黒壁スクエア」はちょっとした観光スポット。軽く休憩していよいよ湖畔へと出ます。

長浜市内、旧北国街道沿いに古い町並みが残る
黒壁スクエアそばで近江牛コロッケを食べ休憩

 ここからの湖北エリアは少しずつ対岸が近くなり、山肌が湖畔にまで迫ります。しばらく内陸を北上して、国道8号線バイパスを横切ってすぐに左へ。このあたりもビワイチの路面表示ガイドが引かれているので、迷いにくくなっています。戦国合戦で名高い賤ヶ岳など、少々アップダウンもあるエリアですが、足を止めなければ5分とかからない上りばかりなのでマイペースで行きましょう。

ビワイチルートはほぼ途切れずラインが引かれている
琵琶湖の北端からの静かな眺め

 しばらく琵琶湖の北端をなめるように走り、静かな景色を楽しみます。高島町に入りマキノで少し寄り道。マキノ高原入口のメタセコイア並木を走りました。まるで日本でないような景色が楽しめます。

高島のメタセコイア並木は壮観

湖西を一路南下

 湖畔道路に戻り、しばらくは湖西のリゾートが点在するエリアを気持ちよく南下します。高島の市街地を抜けると国道161号線と合流して、しばらくは交通量が多く大型車も頻繁に行き交う道路なので注意して走りましょう。湖中に大鳥居がある白髭神社はこの辺りですが、鳥居の前で停まるのは危険なので、少し通り過ぎたところから歩道に入って参拝するようにしましょう。

白鬚神社の大鳥居。道路を挟んで向こうの鳥居は湖の水面に立っている

 再び国道から離れて湖畔ののどかなエリアを走ります。とはいえ湖北よりは人の気配が多くなってきます。スタートから100kmを過ぎ、琵琶湖大橋のたもとに着きました。堅田と守山を結ぶ琵琶湖大橋を使えば、交通量の多い南側40km余りをショートカットして、若干走りやすい距離に収めることができます。逆に大津側から琵琶湖大橋までのエリアで「プチ・ビワイチ」もありかもしれません。

琵琶湖を横断して堅田と守山を結ぶ琵琶湖大橋。現在、自転車は通行料無料で利用できる(守山側から撮影)
堅田の旧市街にある満月寺。湖上に突き出た浮御堂が有名

 琵琶湖大橋の道の駅から堅田の旧市街を抜けて、再び幹線の県道588号線へ。少し走ると1日目のゴール、雄琴温泉に到着しました。

湖南は市街地エリア

 2日目。まずは大津市内を南下します。朝はスタート時刻によっては通勤時間帯と被るなど、交通量が多くなりがちなので慎重に余裕を持って走りましょう。注意したいのが近江大橋の近く。自転車が通る左端車線は橋への左折専用になり、信号や横断歩道もないまま左折させられてしまいます。ルートはだいぶ手前から自歩道に入り、橋のたもとをくぐって抜けるようになっています。橋の直前だと担がないと自歩道には上がれません。

 このあたりから大津の市街地です。大津港の遊覧船や、浜大津駅前の路面電車は、チェックしておきたい眺めではないでしょうか。しばらく街道筋を離れて湖畔の道へ。眺望の良い公園もあります。

大津港からは琵琶湖遊覧のクルーズ船が発着。異国情緒漂う外輪船「ミシガン」が名物
駅前の交差点路上を曲がって浜大津駅に進入する京阪電車。地下鉄に乗り入れて京都市内まで直通運転している

 いよいよビワイチの南端、瀬田の唐橋を渡ります。琵琶湖から流れ出る瀬田川を渡るこの橋は、東海道や中山道と京都をつなぐ、古代より交通の要衝となっていた名橋です。ここから針路を再び北へと取ります。湖東エリアは昔から人口が多く、交通量も多めですが、気になるなら自歩道がほぼサイクリングロード状態なので、こちらを走ればいいでしょう。琵琶湖大橋東側たもとの「ピエリ守山」は、サイクリスト向けに駐車場を無料開放しており、温浴施設もあるのでクルマのアクセス時にはおすすめです。サイクルラックそばの入口を入ったところには、サイクルチューブの自動販売機もあります。

「瀬田の唐橋」は、7世紀ごろには架橋されていたという
ビワイチ南端からの眺め。ただし区分的には琵琶湖から抜けて瀬田川になっている
湖東エリアは交通量が多め。のんびり走るなら自歩道を行くのもあり

湖東は歴史スポットの宝庫

 ピエリ守山のすぐ先には琵琶湖サイクリストの聖地碑があります。さらに進んでいくと、左手に半島と有人の離島・沖島が近付いてきます。道路が右に逸れるところを左の未舗装路に入って少し進むと、琵琶湖岸のパワースポットとして名高い藤ヶ崎龍神があります。長命寺港からの半島沿いは基本のルートでは内陸ショートカットになっていますが、半島沿いを走るのもアップダウンが嫌でなければ楽しいかもしれません。

守山市の第二なぎさ公園にある「琵琶湖サイクリストの聖地碑」
藤ヶ崎龍神は琵琶湖岸に立つ小さなお社

 内陸から再び海沿いに戻り、彦根市に入ると、彦根市街とゴール地点である米原駅への距離が標識に現れます。道路沿いまで湖面が迫ってきた眺めを楽しむと、いよいよ琵琶湖とはお別れ。彦根城へと右折します。数少ない現存天守がある国宝の彦根城の景色をしばらく楽しみ、城下町風の夢京橋キャッスルロードでカフェタイムもいいでしょう。

美しい天守閣が残る彦根城
湖面が道路の真横に迫ると彦根の目印
城下町を模した夢京橋キャッスルロード

 彦根駅から米原駅はJRなら一駅の距離です。最初に佐和山のトンネルを抜けますが、この佐和山は彦根城を築いた井伊氏の以前、関ヶ原の合戦で敗れた石田三成の居城があった場所です。湖東は古くから街道・交通の要衝として栄え、織田信長の安土城など、さまざまな文化財や歴史の痕跡が残ります。ビワイチを基本にいろいろ寄り道をするのも楽しそうです。そうして米原駅に戻り、ビワイチを完了しました。

昭和初期の洋風建築の駅舎が残る、近江鉄道の鳥居本駅
米原駅の手前の線路沿いには、鉄道総合技術研究所の風洞技術センターが。敷地内には新幹線の高速試験車が3両保存されている

覚えておきたいビワイチルートの特徴

 ビワイチルートは湖北エリアを除けば高低差はほぼなく、橋の上り下りが主なアップダウンです。一方で同じ方向に走り続ける時間が長く、風向きが悪いと心が折れてしまうかもしれません。向かい風のときにはスピードが出なくても、無理せず頑張りすぎずマイペースを貫くのが得策です。

 また太平洋側が近い湖南エリアと、日本海側が近い湖北では、気温が数度違うと思った方がいいでしょう。季節の変わり目や天気が微妙な際は、幅広い気候に対応できる準備をしておきましょう。

数kmの直線と向かい風が続く…ということも結構あります

 ビワイチルートの中心となっている湖岸道路は、街道筋とは離れている場所が多いので、コンビニなど補給できるスポットが、湖北・湖西エリアでは多くありません。常にあと1〜2時間は走れる程度の補給食は携帯した状態で走るといいでしょう。

 同じ「琵琶湖」を眺めながら、エリアごとに違った景色を楽しめるのがビワイチの醍醐味。さまざまな表情を見せるビワイチの魅力を、ぜひ味わってみてください。