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自転車にも免許制度をという意見があるが… 交通ルールとマナー

 自転車にも免許制度を、という声がネット上などで出ていますが、これに対し古倉氏のお考えをお聞かせください。個人的には、3年に1度くらいの頻度で講習を受けることを必須とすべきと考えます。交通ルールを知らないで車道を走るのは、自転車にとっても、車・歩行者にとっても非常に危険ではないでしょうか。(40代/男性)
 免許制度は、例えば、高校生の自転車通学の条件として「一定の講習会の受講と試験の結果により与える」ことなどがありますが、このような条件として与えられるものはありうると思います。
 しかし、すべての自転車運転に対して免許を必要とすることは、後述するように様々なケースがあり、自転車利用促進の観点からはあまり進めるべきものとは思いません。 事故が多いオランダなどを含め、どこの国でも、そのようなことは検討されていません。もちろん、これらの国でも、自転車のルール違反はよくあることと認識しています。 しかし、自転車利用促進の観点からは、利用促進のマイナスとなる免許制などの話はありません。とにかく自転車利用を促進することを第一に、この範囲で交通事故の削減を目指しているのが、一般的な姿です。
 また、我が国の現在の自転車利用者は数千万人に上ります。利用者の中には、特に高齢者の方も相当おられます。買物難民、医療難民、引きこもりなどの防止のための私の研究で、自転車を使っていただいたところ、外出回数が増えた、買物が遠くまで行けるようになった、楽しく外出できるようになった、という声が多く聞かれます。自転車利用促進はこのような人々に対して行うことも必要かと考えています。
 このような人に免許制は無理です。自転車は、自動車ほどの速度も出ず、重量もありませんので、他人に危害を加える程度は自動車に比べて相対的に少ないです。自動車と同じ平面で免許を考えるべきではないと思います。
 ルールの順守を推進するのであれば、当面は、質問者の方がおっしゃるように3年に一度くらいの頻度で講習会を受講するような仕組みを用意することは考えられます。
 ただし、これがないと運転できないのではなく、これを受けるとメリットがある、又は受けないと、公共団体から電動アシスト自転車が借りられない、駐輪場の利用の優先権が得られない、買物割引がないなどを設定して、徐々に実績を積んで、その後に講習会を受けていないとマイナスが生ずるようなシナリオを設定することが考えられます。講習会の受講を拡大する方策や、ルールを納得して守るようになる講習内容を工夫することが必要です。